暗い場所に行くと熱くなる男がいる・SONY

日曜の朝日に掲載されたソニーの全面広告は面白い。ようするに、ソニーの技術者さんが暗い場所で、デジカメの画質の研究をすると言うのが広告のテーマである。普通のデジカメ広告が「有名人起用」であるのに比べて、真面目な広告である。
ただし、あまりに真面目過ぎてその効果は弱いかも知れない。日曜の朝にこの広告を持ってきたから、読者はこれに眼を通す時間があると、代理店は読んでいるのであろう。
デジカメはすでに闇を克服しているのだが、ソニーの技術者さんにはまだまだ不満があるようだ。こういう広告のコピーだと、かならず「暗い場所でのノイズ」の克服こそが、良い写真への第一歩という構成になってしまう。
自分などは、森山大道さんの弟子を自認するわけでもないが、モノクロフィルムの増感現像での画像の粒子の粗いのが好きだから、ノイズはまったく気にならない。
よく、画質云々のデジカメユーザーで、ノイズがどうのこうの、、、という連中は、写真の腕は見なくても分かる。そういう連中の「ノイズ論」というのは、こういう広告からの受け売りが多いのである。
デジカメで暗い場所を撮影するときの問題点は、夜が夜のように撮影されない点にある。明るく写り過ぎて、安手のドラマのようになってしまう。だから、マイナス2位に暗い方向に補正してやるのが大事だ。
銀塩時代には、闇の克服は写真術の一大事業であった。10年近く前、新宿のJALホテルで、大道さんに最初のGR-1を手渡した時、大道さんは「このカメラは暗い場所でも写りますか?」と、まるで素人のような質問をした。この質問は重かった。森山大道は闇に向かう写真家だから、真昼の撮影でもそこには闇が銀の粒子の間から噴出しているかのように見える。
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毎日、1台、お気に入りの銀塩カメラを持ってヒルズに来る。今朝はローマ製のライカである、ガンマだ。レンズはこれもレンズの第一面の凹面が好きなコシナのウルトロン。
第一面の凹面レンズには、他にはシュナイダーのマクロシネゴン10ミリとか、同じくシュナイダーの10ミリ(ただしアリフレックス用)がある。コシナの小林社長のレンズ製作のアイデアが尋常ではないと認めたのは、この35ミリの凹レンズを最初に見た時だった。
それとレンズの重量の問題もあり、、M39のスクリューの方が便利という事実もあるので、世界のツアイスZMよりも、フォクトレンダーのM39の方を愛用するようになっている。ガンマのアクセサリーシューは前にオフセットしているので、背面から見るとこんな格好になるのも好ましい。35ミリのライツのファインダーが付いているが、ガンマに一番似合うファイダーは戦前の逆像ビドム(それもブラックの)である。
午後6時、お隣のグランドハイアットで、カレル・ヴァン・ウオルフレンさんのデジタルファインアート写真展のオープニングレセプション。
ゲスト多数の大盛況。駒村商会も駒村社長はじめオールスタッフ。
ハイアットの「神殿」という3fの広大なスペースはなにか日本の神殿を思わせる。そこで、110x91センチ大のデジタルファインプリントは、8x10からスキャンした精密映像である。
アメリカで撮影されたとおぼしき、風景の中に良い作品があった。
ウオルフレンさんと今度、8x10の大型カメラについて語ろうではないか、ということになる。会話の半ばに冗談で、少しドイツ語で会話を試みた。ウオルフレンさんは自分のドイツ語は正規の教育を受けてないから、駄目、というので、あたしのドイツ語なんか耳から聞いたのだから、もっといい加減ですよ、と大笑いになった。
高名なジャーナリストがこういう「真面目な作品」を制作しているのは尊敬に値する。
以前、やはり似たようなスタンスの人がいたなあ、と思いだしたのは、ニューヨークタイムスの写真評をしていた、アンデイ・グルンバーグ氏である。同じ雑誌の仕事をしていた関係でマンハッタンでは良く彼の仕事場に遊びに行った。アンデイは8x10のタチハラ使いなのでであって、四半世紀前に直接、王子のタチハラ写真機製作所にカメラを買いに行っているのだ。
その作品はモノクロの8x10のコンタクトでニューイングランドあたりの渋い風景写真であった。
それにしても、話題のグランドハイアットで写真展とはゴージャスである。
こういうホテルの使い方はクールだな。
カレル・ヴァン・ウオルフレンさんのデジタルファインアート写真展は7日金曜まで、グランドハイアット六本木3fの「神殿」で開催。時間は11時から21時まで。
これは見る価値がある。ついでになかなか入る機会のない、グランドハイアットも見学できる。お隣のヒルズに5年も居るのに、自分は今日が初めてだった。ちなみに、ヒルズの49fからホテルのエントランスまでは2分30秒。
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