河内のバスのチケット
河内のガイドブックなどにはバス路線が複雑だから乗らない方が良いと書いてある。まぁそうであろうどこに行くかわからないし帰って来れないと言うこともあり得るからこれは正しい。
ハノイのバス路線はたくさんあるが1番メジャーなのはやっぱり1番であろう。この路線は18キロほどある。ハノイの路線バスは車体が赤と黄色に乗り分けられた暑い街にはそれが最も熱くらしく感じられるような色である。
逆に考えると私が子供の頃のバスのイメージをお絵かきに書いたりしたときに1番記憶しやすいあるいはハノイのバスのおもちゃを作るときにもこれは作りやすい色の組み合わせだと思う。
ハノイを歩くとき私の歩行は車両の走っている道を対向車線に向かって歩くことだ。これだと向かいから来る交通バイクなどが私を認識してくれるから事故に会う事は無い。しかしこれも10キロ位が限界である。何しろおじいさんが何のプロテクションもなく歩いているから日本語で言うと命がけと言うことだ。
バスの場合は巨大な鉄の箱に入っているわけだからプロテクションはベストである。1番のバスに飛び乗ったら車掌さんが椅子に座っている若い人に指示してそれと同時に若いしとは自分の意思で反射的に立ち上がって私に席を譲ってくれた。
考えてみればものすごいじいさんに見えたのであろう。それにヒゲを生やしているじいさんと言うのはいなくてホーチミンの外には出会ったことがない。
1番のバスは今話題になっている中国が経済援助して昨年出来上がったがまだ走っていないと言う新交通システムモノレールと完全に路線が一致している。
ハノイの中心街の北部から街を南に向けて小さな川を抜けてそのまま一本道で延々と終点のバスターミナルまで連絡している。
乗るといきなり車掌さんが来て切符を切ってくれる。7,000丼である。車掌さんはパンチは別に持っていない。チップの真ん中をほんのちょっと指でちぎるだけである。これは何かに似ているなと思ったらパリでギャルソンがレシートをちぎるのと同じやり方である。さすが宗主国がフランスであったわけだ。
よくツーリストが外国のバスの車掌さんが腰に巻いているコインを格納する道具がかっこいいと言うのでお土産に買ってくる。こういう低俗な道具に対するフェチシズムは思想が高い河内には存在しないのである。河内にはコインは存在しないのだ。補助通貨がないと高級ブティックの店員さんも道でお豆腐を売っているおばさんも実体経済に参加していると言う感じがするのである。