七月の驟雨
宿替えして、家人の方はモノに固執しない性格なので、モノは少ない。家人の部屋はすでに新生活が開始しているが、こっちは広い部屋の真ん中に段ボールの砦が出来ていて、その中に籠城している格好だ。なにか人民戦線のヒロイックな感覚がそこに感じられるのは先月のアンダルシアが利いているわけだ。
日本カメラの前田編集長から8月号の締め切りの到来を聞かされる。日本カメラの「一眼レフの王国」は毎回、はやめ、早めに入稿しているのだけど、今回のように向こうから督促を受けるのは珍しい。
ところが、数あるカメラは全部、段ボールの山の中だしせっかく引っ越しのプロが築いてくれた箱の山を壊すのはちょっともったいない。
昔、アンダルシアのヘレスでシエリーの酒蔵を取材して、あれは何というのか、グラスを山形に沢山積んだのに上からお酒を注ぎ、それぞれのグラスを満たすという伝統古典芸能があったが、今回の段ボールの山系もそれに遣い存在である。
それで一眼レフの王国用のカメラを探したら、ここに一台だけ発見した。それがローライ6008なのだが、このカメラは過去5年間、常にこの机上にあった。その細かい内容は日本カメラの8月号に書いたのでここでは紹介はしない。
バッテリーをチャージして、さてフィルムをと思ったのだが、フィルムは他の100個の段ボールの中である。あわてて銀座にフィルムの1本買いをしに行こうと思って、ロビーまで降りてきたら七月の驟雨である。それで小一時間、ロビーで仕事してから、ビックカメラにカラーフィルムを1本だけ買いに行く。530円なり。
あわてて撮影をするには、6008はモータードライブだし、オートだし便利だ。
撮影済みフィルムを京橋の堀内に持参したら、お昼前なのに仕上がりは午後6地45分という。以前なら90分待ちで、その間、銀座のカメラ店を散策してまた余計な出費をしたものだが、そういう人生の危機は今は遠のいたことになる。
佃に戻り、もっぱら段ボールの廃棄作業に従事。
モスクワから、アエロフロートのエリートプラスの会員カード届く。そのダークなゴールドカラーのカードは今時の日本では存在しないような色合いである。まさにクレムリンの秘宝の黄金色。
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