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2009年7月 7日 (火)

荷風がローライで撮影した偏奇館の室内

R1180080 移転してだんだん本を荷ほどきして、この5年間に失われたと思っていた本が再度発掘されるのは嬉しい。

断腸亭の戦前に撮影されたローライスタンダードの「作品」には、ストレートフォトグラフィの影が射している。その小さい画像に「空間の真実」が見え隠れしているのが面白いといつか福田和也さんと興に任せて話をした記憶がある。
その写真が掲載されている、岩波書店の「おもかげ」は昭和13年の刊行であるが、その中に荷風自身の撮影と思われる写真が多数収録されて全部で24葉。
その中で、この偏奇館の室内の写真は特に良い。

ウオーカー・エバンス撮影のインテリア写真となにかの共通項を感じるのみならず、そのシーンが荷風その人の生活空間であることが、さらに空気感を濃密にしている。
この小さいテーブルに籐の椅子というのは、まさにリヨン風である。そこにワイングラスとボトルが見える。こういうのを生きた生活の写真というのであろう。そのまま生活の段階で停止してしまうのではなく、生活が記録を超越して永遠の時間に通底しているようなのだ。そういう言い方が持って回った表現というのなら、ライフスタイルがそこにちゃんと出ていると言ってもよい。

当時のフィルムの感度は低かったし、夜間の室内だから、照明も十分ではない。おそらく感度10のフィルムで絞りはf3,5で一秒くらいであろう。これは三脚を使わずに、他のテーブルの上にローライを固定して撮影したのかもしれない。

断腸亭日乗の数巻の書物より、ただ1枚の写真の方が理解をより生むのも事実である。

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コメント

偏奇館は、土地九十九坪、建坪三十七坪の二階建てだったそうです。外人が住んでいたのを買った家で、「ペンキ塗りにて一見事務所の如し」と書いています。
ここから我善坊の妾宅まで歩いて通っていたわけで、なんてイケ好かないジジイなんでしょう。
「慎重」読みました。

投稿: 胸の振り子 | 2009年7月 7日 (火) 22時14分

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