降誕祭接近す
晴れた日曜の朝に、仕事でヒルズに行くとき、タワーのロビーを見たら、クリスマスツリーが目にはいる。
これがあるので、居住区ではツリーは飾らないしきたりである。せいぜいがピアノの上に到着したクリスマスカードを並べる程度だ。
思えば、がきのころには、毎年、ツリーの飾り物が押入れの奥から取り出された。ツリーは角の花やから買ってきた。飾りつけは母親の指揮のもとに行ったが、ツリーのトップにつける金色の球の「戦前の色合い」がすきであった。主に球形のデコレーションを形よくぶら下げて、あとは金モールだったかな。昭和30年代には一般家庭にはまだ豆電球のデコレーションは普及していなかったようだ。豆電球のデコは好きではない。ましてや、例のLEDのやつは、安っぽくていけない。
当時はツリーの周囲にプレゼントを置く習慣は我が家にはなかった。
その本格的なのを体験したのは、ウイーンのライカショップのペーターの所に記念写真を依頼されてイブの午後5時に彼のウイーンライカショップの裏手の工場を改造したロフトに行ったのである。
ここで、立派なクリスマスツリーの周囲に並んだ本格的なプレゼントの箱の山を見た。午後7時であったか、「家長」たるペーターが蝋燭に点灯して、それから晩餐が開始される。
その前に家を辞して徒歩で、シュテファン寺院のまうらのペンションに戻った。その時の町の様子は忘れられない。まるで戒厳令のような無人の街にイルミネーションだけが輝いている。
ペンションの自室に戻ったら、ホテル側のこころずくしの、クリスマスのお菓子がデスクの上に並んでいる。思い立って、グラーベンの裏手のオープンサンドイッチの老舗に行って、ちょっとサンドイッチを買った。ここはオペラに行く前に、ちょっとつまんでそれからsektを一杯飲んでオペラを聴きに行く店なのだけど、部屋で一杯やるためのつまみを買うのは初めてだった。シャンペンはすでに用意してあるので、部屋で買ったばかりのアルフレックスSR2を肴ににして祝杯を挙げた。
かなりよい気持ちになったころ、真裏の頭の上にあるシュテファン寺院の深夜のミサを告げる鐘がなった。
そこらの事情は写真集「CHOTOKU X EPSON R-D1」に記録されてある。
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