KCチョートクカメラコラム
KCチョートクカメラコラム
★デジタルカメラ VS 銀塩クラシックカメラ
ニコンFに付いていたレンズをちょっと借りて、ニコンD700で使う
ニッコール350ミリというのはトリプレットタイプであるから、SPファンには人気のTニッコール105ミリf4と同様な構成だ。小型軽量の先細りレンズの105ミリf4がそのまま大きくなったと思えば良いのである。
だから、350ミリf4、5は「大形軽量」という変な言い方もできる。
60年代に「スペイン偉大なる午後」を撮影した、奈良原一高さんはもっぱら闘牛でこのレンズを使っていた。「ぼくは何時も闘牛場で一番長いたまを振り回しているカメラマンだった」と往時を一高さんは追想している。
一高さんは、あまり腕っぷしの強いタイプではないが、大形軽量だからT350ミリを愛用したのであろう。
あたしのレンズはもともと、ブロニカD用なのを、コパルの0番を付けて、4x5にも使える。
急に冷涼になったので、その反動でちょっと夏ばてにて、寝室で横になって、柳田国男校定の「紀行文集」(昭和5年博文館)を見ていた。これは江戸時代の諸国の紀行文の集成だ。
川面に大勢の人間のおたけびが聞こえてくる。北京の馬鹿騒ぎがここまで聞こえるわけはない。
バルコニーに出たら、永代橋の上は人で埋まっていた。
革命か!?
いや、3年に一度の深川のお祭りのみこしが小雨にけぶる永代上を渡っているのだ。この間、やっていたと思ったらもう3年が過ぎたのか。まったく油断もすきもない。
これは撮影しようと思って、手許のニコンD700の24ー70ミリを外し、ベランダに出て、オートニッコール200ー600F9のレンズで連続して撮影。ライカインコが勢いにて、脱走してはならぬと気を使う。
すぐに部屋に戻って、PowerBookで結果を見たら、どうもシャープさが欠けているのは、この長いズームの癖玉のせいである。すぐに350ミリF4、5に付け替えて撮影した。こっちはなにしろ玉は3枚なのだから、抜けは良い。シャープさも満足できる。
それがこの画像である。
御覧のように、350ミリはニコンFに付けていつも見える場所においてある。それにはフイルムが入っているが、日曜の午後ではラボはお休みだしいかんともしがたい。こういう「お祭り写真」はやはり速報性であろう。D700の勝ちである。
D3を使い慣れた指先には、D700のシャッターストロークがやや長く感じるので慣れるまでにちょっとまごついた。
銀塩カメラの銘機、ニコンFのレンズがそのままに使えるのは、やはり大したものである。
その使い勝手は、ライカのレンズをそのままエプソンで使えるようなものだが、フルサイズの画面がやはりこの場合には相当効果的だ。
永代橋上のみこしの行列は気温22度の霧雨に濡れてなかなか進まない。
芥川が「本所両国」の中で、明治時代にまだ残っていた、隅田川の河を船で流す「水売り」のことを書いている。その売り声が水面にずーーーっと響いて、それが無気味であったと。
永代橋上の「わーーーーーーっつ」という閧の声も無気味である。
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