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2008年5月12日 (月)

電話嫌い

Sr_24680img600x4501208673380p101000 足穂によると、ビクトリア女王であったか、誰であったか、なんでも英国王室の偉い人が、電話嫌いで有名であったそうだ。
足穂がそれに同感して、ああいう機械に向かってものを言うことを強制されるという行為の不気味さについて書いている。

そして、なにか機械でもって、こっちから文字を送ったのがそのまま向こうに届くようなシステムの方がよほど理にかなっているとも書いている。

飛行機少年であり、パテの映画機材に憧れるキャメラおたくであった足穂が、唯一知らなかったのはインターネットであった。しかしその登場のずっと前にそれを予見しているわけだ。

自分が電話嫌いになったのはこの15年来であろう。以前、写真家名簿などに家の電話番号が記載されていたから、「熱心な読者さん」と自称する方からよく電話をいただいた。

時間があるときにはそういう相手を閑談していたいのはやまやまであるが、皮肉なものでそういう電話は忙しい時をピンポイントにしてかかってくるのである。

以来、電話を使わないことと宣言した。
だから、家人であれ、編集者さんであれ、浅田恵理子であれ、福田和也であれ、坂崎幸之助であれ(この間、敬称略)誰でもメール連絡である。

先日、神田明神脇のギャラリーバウハウスで展覧会の開催した榎本敏雄とは、日本デザインセンターを「卒業」以来付き合いがなかったが、38年ぶりに先日、トークショーで旧交をあたためた。

榎本はあたしが電話を使わないことは知らないから、昔の写真家協会かなにかの名簿であたしにごく普通に電話してくる。
しかしこの場合、電話に出ないというわけにもゆかないからその時には電話口(これは死語であるが、昭和20年代にはでんわぐち、という呼び方をした)に出て、トークショーの打ち合わせをした。その時、今後はメールにしてくれと言ったかも知れない。
しかし電話が普通の連絡手段と思っている「現代人」にそんなことを言っても無理であるのは承知の上だ。

その後、留守電で榎本から「5月30日にパーテイをやるので来てください」と入っていた。
それには仕事で出られなかったが、電話は「その場かぎりのもの」であるから、用件はメールの方がはるかに良い。

だから電話は今後も使わない。

しかし、電話でないと用の足りない部署がこの世界には何件かある。
それは、航空会社の予約のシートアサイン(もっともこれは最近ではオンラインで出来るようになった)京橋税務署(インターネットで個人課税課の人とか管理課の人には連絡ができない。イントラネットはあるそうだ)それと六本木ヒルズクラブのダイニング予約である。

この三カ所が電話をかけないと用の足りない三冠王だった。
そのうちの航空会社は先に書いたように、今はオンラインで出来るから電話はよほどのことでないとかけない。
京橋税務署は年に数回の連絡だからまず良いとして、六本木ヒルズクラブはメールでの予約が出来ないので面倒だ。

49fのオフィスから51fのクラブに電話をかけて予約をとっているのである。
まあ、考えかたによっては自分の唯一の社会との接点のある「有線連絡」だからこのくらいは仕方ないと考えている。

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