弥生のロボットローヤル36
春、三月。
この前、必要な機材を捜索して、例のカメラジャングルに分け入っていたら、探していたレンズは発見できなかったけど、その代わりに西ドイツヂュセルドルフは、オットー・ベーニング社製のロボットローヤル36が「出土」した。
先月のアメックスプラチナの機関誌の「バチエロンの差別広告」で、ローライフレックスの1929年モデルがやり玉にあがっていた。
あれでは、ローライフレックス社とあったが、そういう会社は存在しなくて、当時はフランケウントハイデッケ社と言った。
このロボットもそうであって、ロボット社ではない。でもオットーなんやらかんやらは面倒だから、仮に「ロボットの会社」にしておく。これなら「お父さんの会社」と同じで、問題はなかろう。
このローヤルシリーズに関しては、これは50年代後半から市場に出たと記憶するが、もともと偵察、諜報などの特殊カメラを生産していたロボットの会社が、ライカのアマチュア写真界での成功を羨ましく思って、自社でもライカ的なカメラを生産したのが、その「犯行の動機」である。
しかしもともと、ルフトワッフェン(独逸空軍)の戦果偵察用に生まれたカメラだから、無骨であって、この政治改革は失敗した。
ロボットの中で、普通は24x24サイズが定番なのであるが、これは24x36(ただし若干その長辺は短い)のサイズで、スプリングをいっぱいに巻くと、十数枚の連続写真が撮影できる。
こういう無骨なボデイの剛性が異常なまでに高い本体を持った、しかも金属の切削精度が指に痛いような、特殊カメラに「ローヤル」と命名して、しかもエンブレムに王冠を付けるなんぞは、さすがゲルマンの面魂(つらだましい)である。
日本の大井町や下丸子には出来ない技だ。
せっかく出土したので、使ってみる気になって、一緒に出てきた、純正の(一見、サードパーテイが改造したように見えるが)24ミリ広角レンズを装着した。
これは珍品である。
しかしそのままでは、どうも面白くないので、道具箱の中にあった、独逸製のhamaの角形フードがサイズがぴたりとあったので、これを付けて、「偽スーパーアンギュロンのフードコスプレ」を遊んだわけである。
重いカメラであるが、最初はこれも専用のモーターのスプリングブースターを本体の下部に装着した。これは本体に内蔵されているスプリングにさらにパワーを与える装置である。
こういうものを造らせたら、独逸にはかなわない。(逆にこういうものを制作していたから、極東の目のつり上がった連中にやられてしまったとも解釈可能)
そのブースターを付けると、一回の巻き上げで36枚撮影できるパワーを授かるわけである。
ところがそれを付けたら、カラシニコフより重い、ウエポンになってしまったので、それでは市街戦には良くないからブースターは外してその代わり、こしな製の球体のグリップを付けた。この球体グリップなこしな製の星の数ほどもある、各種アクセサリーの中で、一番有効な道具である。
カメラに付けると、絶対にカメラを取り落とす心配がない。
その24ミリと、もう一本、ゾナー(これも天下のオーバーコッヘン製)50ミリf2とで、佃の朝と六本木のラッシュを撮影しつつ、今、49fに到着したわけである。
これがデジカメの「マル×三角號」(α200)なら、その画像をすぐにアップして、「ウーム、やはり、今回のインプレッションでは、イエナの元祖テッサー50ミリf3、5は、本場もんだけあって、西独逸製とか、日の本製とかとは異なり、往年の独逸の光とその諧調が写っていますなあ、、、」などと馬鹿話が出来るのであるが、ロボットでの撮影はコダックのカラーネガなので、まず最初に撮影済みフィルムを6fの55ステーションに持参する必要がある。
未来の時間に向けて、光の罠を仕掛けるわけで、その未来志向がやはり銀塩の魅力ということになる。
デジカメはスクラッチのインスタント宝くじ(一回も買ったことなし)なのに対して、銀塩はドラッドな宝くじほどの差というべきか。
| 固定リンク



コメント